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らくがきおきば ぎじんかBLなんでもありです
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やっぱりちょっと切ない

追記でSS

「月が綺麗ですね」

窓に切り取られた四角い夜空を眺め、彼女は言った。
ぼんやりと。目を細める。

「知ってた?昔、「I LOVE YOU」をこう訳した人がいるんですわよ」

長い紫の髪が月光を弾いて光る。
そこから除く紅い瞳は、まっすぐに僕を見ている。
彼女からの愛の言葉は、自分の名前と同じぐらい聞きなれていた。

「知ってるよ。「愛してる」なんて言わなくても、そう言えば伝わるからって」
「素敵な感性の持ち主だったのね、一度会ってみたかったわ」

窓の縁を指でなぞりながら、嬉しそうに、
それで少し切なそうに、金色の満月を見つめている。

ああ、困ったなぁ。

「そうね、昔は「愛してる」なんて直接的な言葉は、無粋だったのかもしれないですわね」
僕よりずっと長生きで年上なはずなのに、ひどく幼く見える。
彼女がまだ少女の姿だからか、それとも

「パミーナちゃん」

困った。やっぱり女の子と話すのは苦手だ。

「なぁに?」

ふわりと、紫の髪をなびかせながら
僕の右腕にすり寄ってきた。

「・・・冷たいね」

ひやりとした、滑らかな氷の様な肌。

「貴方は暖かいわ」

彼女と僕とは大きな隔たりがある事を、触れるたびに思い出す。

「パミーナちゃんはさ、僕の、その・・・どこが好きなの?」
どうにか無言を打ち破ろうと、適当に話題をふってみた。
適当すぎて涙が出そうだ。何を聞いているんだ僕は。
「そんな事!全てを愛していますわ!そのお顔も、声も、中身も全部!」
なんだか前にも聞いたなぁ、どうしよう、結局会話が続かない。
「わたくしと結婚してくださる?」
「いや、それはー・・・」
「もう!早くイエスと言ってくださればいいのに!」
頬を膨らませつつ見上げてくる彼女。
こういう時うまく言葉が見つかればいいんだけど
僕のボキャブラリーはそこまで発達してないみたいだから、
「あはは・・・」
苦笑い。目を合わせられない。
彼女と僕が釣り合わないことは知っている。
このままずっと、ずっと
「・・・パミーナちゃん、あのさ」
僕らの関係は平行線で
「葵」

恋人だなんて、いえないままで。

「どうか、何も言わないで」
「でも、」
「わかってる、わかってるのよ」

だめだ、だめだ、そんな顏をしないで。

「わかってる、「こうだったらよかったのに」って、思うでしょう?」

長い睫毛が、瞳に影を落とす。

「でも、そうはならなかった。それだけの話よ、葵」

だめだ。僕の方が泣きそうだ。

「・・・ごめんね」
「なぜ?謝らないで」
にこ、と微笑んでくれた。
笑顔ってこんなにも人を安心させるものだったのか。

「こうやって貴方の手が握れるだけで、わたくしは幸せなのですわ」

決して暖かくなることはない彼女の手を、そっと握った。

「ねぇ、パミーナちゃん」
「・・・なに?」
「一人で本の整理をするのは寂しいから、明日もまた来てくれる?」
「ええ!何度でも、いつでも!」
「うん、君は大事なお友達だからね」
「ちーがーいーまーすーわ!恋人よ!」

ほら、やっぱり彼女は、笑顔が一番似合う。

 

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